【1度で30個以上!】花炭をたくさん作る方法をイラストで詳しく解説
お疲れ様です!趣味で花炭を作っているたけし(@takeshinonegoto)です。
この記事では大量の花炭を作る方法を解説します。
- 花炭を作って和風インテリアにしたい
- 1個2個じゃなくて、1度にたくさん作りたい
- 少しずつ作る方法しか知らない
1度に30個以上の花炭を作った方法の解説
花炭とは単なる炭ではなく、花や草木の造形を保ったまま炭にしたもの。
花炭を使ってインテリアたくさん作ってみたい!
でも作り方を調べてみても、少しずつ作る方法しか見当たらない・・・
オシャレなアイディアはどんどん湧くけど、花炭の量が足りない・・・
もっとたくさん花炭を作る方法を知りたい!!
そんなオシャレな方のために、この記事では「たくさんの花炭を1度に作る方法」を解説します。
実際に僕が1度に作った花炭の写真。30個以上作れました。
この記事を見ていただければ、花炭の数を気にすることなくインテリア製作に取りかかれるようになります。
「花炭じゃなくて崩れた炭でも良い!」という方は「【ペール缶を使用】ほぼ無煙!自宅で大量に炭を作れる方法」をご覧ください。
- 炭作りの原理
- 炭作りに挑戦(失敗談)
- TLUDストーブで炭作りに再挑戦
- 花炭の作り方
- 炭の火起こし
花炭とはそもそも何か
草花の造形を楽しむための炭
花炭とは、木の実、葉、花、果物など素材そのままの形で炭化させてつくる炭の一種です。
「飾り炭」とも呼ばれ、500年の歴史を持ち、古くから茶の湯の世界で菊炭と共に使用され、優雅で高尚なものとして珍重されてきたと言われています。
引用:花炭-やまとなでしこ食堂
単純に「炭」というと、BBQなどで使う炭をイメージする方も多いはず。
BBQで使う炭と花炭では、見た目はもちろん目的が違ってきます。
効果や目的
- 消臭
- 除湿
- 水のろ過
上記が炭そのものが持つ効果。ひとことで言うと、「環境を綺麗にする」効果ですね。
加えて「真っ黒な感じ」+「普段見慣れてる植物」が、インテリアとして高い人気。
つまり「環境を綺麗にするインテリア」です!
炭ができる原理
発生する成分 | 特徴 | 主な使用用途 |
---|---|---|
炭素 | 燃焼に使われる物質 | 木炭として |
木酢液(もくずえき) | 酸っぱい液体 | 燻製・虫除け、除草 |
タール | 防腐効果のある油 | 食材のコーティング |
木ガス | 可燃性の物質 | 二次燃焼 |
煤(すす) | 黒くなる | 書道の墨 |
木を加熱することで、上記のような成分に分解されます。
木を加熱する際、燃やすと「灰」になりますが、燃やさなければ「炭」として抽出できます。
結論として、木を加熱して炭素を抽出できればOKです。
加熱することで木に含まれる成分が分解され、炭だけが残る状態にします。
引用:炭ができる原理をわかりやすく解説!和風インテリアを自作する-リベンジDIY
要するに酸欠状態で加熱すればOKなんです。
もっと詳しく原理を知りたい方は「炭ができる原理をわかりやすく解説!和風インテリアを自作する」をご覧ください。
原理を知っていれば、新しいやり方を見つけられるかも!
【一応成功】小さい缶で花炭を作ってみた
- 材料:小さい缶(クッキーの缶)
- 方法:缶に炭にするものを入れて加熱
- 結果:炭ができた(ただし、8個くらい)
インテリアをたくさん作ろうと思ったら、何回も炭作りをしないといけません
小さい缶での作り方
炭にするものを小さい缶に入れます。
今回使ったのはクッキーなんかが入ってる缶。こんなやつです↓
「フタに穴を空ける」ってやり方がよく紹介されていますが、この工程は不要。
確かに穴を空けると白煙が見えて、炭のでき具合がわかりやすいです。
しかし実際は、フタの隙間から白煙が漏れてくるので穴は無くてもOK。
無くても良い工程なら、削ってOK。手間を減らしましょう。
加熱は屋外でやるので、カセットコンロがあると楽。
安全面を考慮すると家庭用で済ますより、アウトドア用のものを使った方が良いですね。
アウトドア用と家庭用で金額もそんなに変わりません。
小さい缶で作った結果
8個くらいの炭ができました。
量は少ないですが、一応作れたので成功としておきます。
上の写真のように、細長い枝を炭をする場合ならこの方法でも良いかもしれませんね。
少量の花炭や小枝の炭が欲しい方なら、ここまでの方法でOKです
【失敗】ペール缶で花炭を作ってみた
- 材料:ペール缶
- 方法:缶に炭にするものを入れて加熱
- 結果:炭ができなかった
炭にならなかったので失敗談として参考にしてください。
ペール缶での作り方
炭にするものをペール缶に入れます。
画像の物は少し小さいもので、あんまり売っているところをみたことがありませんが、通常のサイズなら売っています。
また、運が良ければ無料で貰える方法もあるので「【無料】ペール缶のおすすめ入手方法」も参考にしてください。
今回は松ぼっくりや杉の実、栗などを合計30個ほど投入して加熱してみました。
ちなみに僕はロケットストーブというものを自分で作って加熱しています。
ロケットストーブは薪を使って効率良く加熱できるコンロみたいなもの。
耐火レンガ35個くらいで簡単に作れて汎用性もあるので、アウトドアが趣味ならオススメです。
ロケットストーブ、ピザ窯、BBQグリルなど簡単に作れます
「ロケットストーブって何?」って方は「ロケットストーブの原理・構造・特徴:イラストでわかりやすく解説」をご覧ください。
ペール缶で作った結果
結論、失敗しました。
ペール缶の中心にいるものほど半生状態になっていました。また、炭になったものもありますが、崩れてしまったものが多かったです。
原因の予想
松ぼっくりなどの量が増えたことや、空間が大きくなったことで、熱が伝わりにくくなったと思われます。
要するにペール缶の中で熱にムラができてしまったんです。
熱ムラがあるせいで、炭にならなかった物と加熱し過ぎて崩れてしまった物に分かれたと予想。
成功には熱ムラの解消が課題になりますね。
原因からの反省
ペール缶で成功させるには、均一に熱を伝えてムラを無くす必要がある
↓
熱を均一に伝えるには、熱伝導率の高い物質が必要
↓
今回は炭にする物(松ぼっくりなど)の周りに空気がある状態
↓
空気よりも熱伝導率の高いもので周りを囲めば、より効率良く熱を伝えられるはず!!
というわけで熱伝導率が空気よりも高く、手に入りやすい物質を調べてみます。
結論を言うと、「砂」が良さそうです。
【成功】大きい缶に砂をいれて花炭を作ってみた
- 材料:ペール缶と砂(海で集めた)
- 方法:缶に炭にするものと砂を入れて加熱
- 結果:炭ができた(30個以上)
大量の花炭を作るという目的を達成できたので成功です
砂を使ってみる
前回の反省から、空気よりも熱伝導率の高い物質を使うことにします。
調べてみたところ、空気よりも熱伝導率が高く、比較的手に入りやすいもので「砂」がありました。
物質名 | 熱伝導率(W/mK) |
---|---|
空気 | 0.025 |
砂(乾燥) | 0.35 |
空気の10倍以上の熱伝導率!
砂で埋めた方が空気で埋めるよりも、熱ムラが少なくなるはずです!
ちなみに砂は海で集めてきました。
作り方
ペール缶に砂・炭にする物・砂の順番に入れます。
あとは前回と同様、ロケットストーブを使って加熱。
大きい缶に砂と材料を入れて作った結果
実際に僕が1度に作った花炭の写真。30個以上作れました。
無事に大量の花炭を作ることができました。
ただし砂が炭に付いてしまうので、あとから水洗いが必要です。
あんまりガシガシ洗うと崩れるので注意しましょう。
海で拾ったハリセンボンの死体も炭にしましたが、ガシガシ洗いすぎて崩れました・・・
【失敗】より硬い花炭を作るために【本文より長いおまけ】
- 材料:ペール缶と空き缶と砂(海で集めた)と水
- 方法:缶に炭にするものと砂と水を入れた缶を入れて加熱
- 結果:炭は硬くならなかった
より硬い花炭を作ろうとしましたが、失敗しました
すでに大量の花炭を作るという目標を達成しましたが、実はさらに挑戦をしていました。
が、結論を言うと個人が自宅でできるレベルを超えてしまいそうで断念。
おまけ程度に見ていってください。
より硬い花炭作りに挑戦
- 花炭は形の美しさをキープしてこそ価値がある
- しかし、炭にすることで崩れやすくなる
- どうにかして、硬い花炭を作れないのだろうか。。。
こんなことを考えていました。
そこで疑問に思ったのが、炭とダイヤモンドの関係。
理科や化学で習うのでご存知の方も多いと思いますが、炭とダイヤモンドはどちらも炭素の塊。
「同素体(どうそたい)」ってやつです。
ダイヤモンドを作ることは無理として、ダイヤモンドのように硬い炭を作ることはできないのか?
なぜ同じ炭素から柔らかい炭と硬いダイヤモンドができるのか
ここは本当におまけの中のおまけ。趣味程度に書いています。
細かい解説をしたいのですが、この記事の余白はそれを書くには狭すぎるので省略しています。
炭素の塊の中には、炭という柔らかいものと、ダイヤモンドという硬いものがあることはわかりました。
しかし、何が原因でこのように性質の異なるものに分かれるのでしょうか?
それは炭素原子の結合方法に違いに理由があります。
炭素が炭になる際に行っている結合方法は「ファンデルワールス結合」というもの。これは非常に弱い結合方法とされています。
一方、ダイヤモンドの結合方法は「共有結合」というもの。これは非常に強い結合方法。
さらに言うと、分子構造が「平面構造」ではなく「正四面体構造」であればダイヤモンドのように硬い性質を持てます。
知らない単語が3つ4つ出てきたと思いますが、知らないままで大丈夫です
炭素の同素体であるダイヤモンドの作られ方
ダイヤモンドはマントル(地球の内部にある核の外側の部分)に高い圧力がかかることで作られます。ただ、圧力が高くても高温の状況下では結晶の構造がゆるい石墨になってしまうそうです。ダイヤモンドができる環境はマントル内の深さが120キロメートル、温度が1000度付近で、それより高温になると石墨になり、低温になるとダイヤモンドの結晶ができるということです。
引用:ダイヤモンドの情報サイト
ダイヤモンドの作られ方を調べてみると、高温度と高圧力が重要とのこと。
確かに炭の中でも硬い炭とされている備長炭は、製造工程の仕上げで1000度くらいにすると言われています。
家庭でも高温度と高圧力で炭を作れるか検討していきます。
高温で作れるか検討
我が家ではピザを石窯で焼くことがあるんですが、このときの温度は高くても500~600度。
しかもこれは直火の当たっている場所の温度なので、窯の内部自体はせいぜい400度程度です。
炭の原料は酸素に触れないように缶の中に入っているので、炭の原料を1000度まで上げるのは難しそう。。。
高温で作るという方針は諦めます
高圧力で作れるか検討
圧力を高める方法は意外に簡単。
密閉された容器の中で水分を気体にし、外へ逃がさないようにすればOKです。
水は液体から気体になることで体積が増えるので、外へ逃げようとします。
しかし、容器を密閉することで逃げられなくなり容器内を圧迫。
この原理は圧力なべの考え方。簡単に作れそうです!
作り方
砂を使って花炭を作った方法に加えて、水の入った空き缶を用意します。
あとはこれまでと同様、ロケットストーブを使って加熱。
空き缶の中の水が蒸発することとフタを密閉したことで、圧力が高まるはず!
圧力を高めて作った結果
失敗でした。
見た目はそんなに変わらないんですが、全然硬くなっていません。
強く触ると崩れる柔らかい炭でした。
失敗した原因を現役化学者と現役理系学生に聞いてみた
- ダイヤモンドになる過程で炭を経由するわけではない
- ダイヤモンドと炭はまったく別の話
- 硬い炭を作る要因で大きいのは、硬い素材を使っていること
- 高圧力高温度で炭を作ることで硬くはなるが、個人でできる限界を超えている
結論を言うと、そもそも今回の実験で行った程度の高圧力では、炭の性質を変えるほどの化学変化を起こすことができないというもの。
炭素が炭やダイヤモンドになることは間違っていませんが、ダイヤモンドになる過程で炭を経由するわけではありません。
備長炭が硬い炭なのでダイヤモンドに近い炭なのかと思いましたが、そうではないようでした。
かと言って今回の実験では、柔らかい炭が硬い炭になるほどの好条件を揃えられているわけでも無いと。
炭を硬くする要因として、硬い素材、高圧力、高温度とありますが、一番影響力が強いのは「硬い素材」を使っていること。
高圧力や高温度というのは、硬い素材の密度をより高くする意味であり、松ぼっくりのような柔らかい素材を硬くするほどの影響力を出すには、個人ができる限界を超えているとのことでした。
この解説のために色々教えてくださったのは「ゆるけみ」というサイト運営している松坂澪さん。
そして現役理系大学生で「ゲームチュ」というサイトを運営しているシルバーさん。
とくに松坂澪さんは現役化学者(専門は化粧品と食品系とのこと)なので、超絶詳しい話を聞けました。(僕が理解できたかは別の話)
まとめ|花炭をたくさん作る方法をイラストで詳しく解説
- 花炭とは草木の造形を残したまま炭にしたもの
- 消臭や除湿効果のあるインテリアになる
- 酸欠状態で加熱することが基本的な作り方
- たくさん作るために、いろんな方法を実施
- ペール缶+砂で成功
美的センスがない僕でもこんな感じの和風インテリアを作れました
インテリアに凝る方なら、もっとオシャレな飾り方ができそう。
良い感じの花炭を作れたら教えていただけると嬉しいです!
- 炭作りの原理
- 炭作りに挑戦(失敗談)
- TLUDストーブで炭作りに再挑戦
- 花炭の作り方
- 炭の火起こし