ピザ窯に耐火レンガを使う理由をとことん追求してみた
お疲れ様です!耐火レンガでピザ窯を作ったたけし(@takeshinonegoto)です。
この記事では耐火レンガの性能をガチで調べてみて、ピザ窯に適しているかを探ってみた結果を紹介します。
- ピザ窯を作ってみたい
- 調べてみたらみんな耐火レンガを使ってるけど、赤レンガじゃダメなの?
- たまに赤レンガでピザ窯を作ってる人もいるみたい
- 調べてみたけど、みんな言ってることが違って難しい
自作のピザ窯を作ってみたい!
材料を調べてみたら「耐火レンガを使うべき派」と「赤レンガで大丈夫だ派」がいるみたいだ。
値段で言えば赤レンガの方が断然安い。赤レンガで良いなら赤レンガで済ましたい・・・
調べてみても、あんまり具体的な理由が書いていないし、難しくて良くわからなかった・・・
安い赤レンガを使ったらダメなのかな・・・わからない!
そんな悩みを解決するために、この記事では様々な文献からレンガの違いや特徴を調べ、実際に赤レンガを熱して確認をした結果を紹介します。
- 耐火レンガにこだわる理由を、ピザ窯の原理から考察
- 耐火レンガと赤レンガの違い
- 実際に赤レンガを熱した結果
難しい用語も分かりやすく解説していきます!
なお、この記事の結論は「耐火レンガを使うべき。ただし、高品質でなくても良い」です。
- これだけ読めばOK
- 事前準備
- 成功体験
- 失敗体験
📖電子書籍になりました!
【結論】耐火レンガを使うべき。ただし、高品質でなくても良い
赤レンガは確かに安いです。でもピザ窯は耐火レンガで作りましょう。ただ、耐火レンガも品質によって値段が異なります。
僕がオススメするのは「高品質ではない耐火レンガ」
コスパ的にこの方が良いです。
詳しく理由を解説していきます。
【理由】なぜ耐火レンガにこだわる必要があるのか?
ざっくりと理由を説明すると「耐火レンガの方が高温を維持しやすいから」です。
しかし耐火レンガは赤レンガに比べて高額。安い物でも赤レンガの約2倍の金額です。
なぜそんな高額な耐火レンガを使ってまで、高温を維持することにこだわるのか。
それはピザを焼くにしても、窯を暖めるにしても、高温であることが重要だからです。
- 窯の温度が485℃で焼くのがナポリピッツァの伝統
- 耐火レンガで熱を蓄える
- 火の通り道を高温に保つことで、燃焼効率がUP
詳しく解説をしていきます
理由①|ピザを美味しく焼くには430~485℃必要だから
炉床の温度 約 485℃
窯の天井の温度 約 430℃
焼成時間 60~90 秒
引用:ピザを焼く温度は何度ですか。-石窯工房Padre
これはナポリの伝統ピッツァを作る際に必要な条件と言われています。
もちろん一般の方がまったく同じ条件で焼くことは困難ですが、なるべく近い条件で焼く方が良いですよね。
400℃まで上げるのってどのくらい大変なの?
1時間以上焚き続けるくらい大変だよ
窯の中をピザに適した温度(400℃以上)にするには、ちょっと火を付ければOKってわけじゃありません。
だからなるべく温度の上がりやすいピザ窯を作ってあげる必要があります。
理由②|耐火レンガは熱容量が高く、効率よく熱を扱えるから
「耐火レンガ」は熱容量の高い素材で、「赤レンガ」と比べてピザ窯に適していると言えます。
「熱容量が高い=熱しにくく冷めにくい=ピザ窯に適している」
と、考えてOKです。
レンガにはいくつもの種類がありますが、一般的に購入できるのは以下の2種類です。
- 赤レンガ
- 耐火レンガ
実際に赤レンガと耐火レンガで簡易的な窯を作ったところ、全然違う結果になりました。
赤レンガで作った窯は、窯の外側(つまり火の当たっていないところ)が触れないくらい熱くなっていました。(ていうかガッツリ火傷しました)
一方、耐火レンガの窯の外側は冬なら「ヒンヤリする」と感じるくらい。
また、赤レンガの窯は翌日になると内側も外側も十分に冷えていました。
しかし耐火レンガの窯は翌日になっても内側が熱いまま。
- 耐火レンガは赤レンガに比べて、外側へ熱の放出が少ない
- 耐火レンガは赤レンガに比べて、内側の熱を維持する
この結果からわかるのは、耐火レンガの方が赤レンガに比べて効率良く熱を扱えるということ。
つまり窯を高温にするために必要な燃料や時間が、少なくて済むんです。
あと、子供がいる家庭でのピザ窯という前提から言えば、単純に赤レンガの窯は危険です。僕も火傷しましたし。
理由③|火の通り道を熱することで熱効率がUPするから
このブログで紹介しているピザ窯は「ロケットストーブ」というものの原理を取り入れています。
ロケットストーブの特徴をひとことで言うと、「少ない燃料で高温を出すことができ、煙が少ない窯」
この特徴を引き出すには、火の通り道を高温にする必要があります。
火の通り道を高温にすることで、通常は煙として排出されるだけのものを火に変えることができるんです。
これを「二次燃焼」と言います
結論|①熱を蓄えて②二次燃焼を起こし③窯を高温にする
- 蓄熱性の高い素材を使う
- 二次燃焼を起こしやすくする
- 窯の温度が上がりやすくなる
⇒ピザが美味しく焼ける!
こういった理屈で、耐火レンガを使うことにこだわっています。
【選び方】耐火レンガは熱容量が重要
「耐火レンガ」と言っても非常に種類が豊富です。
結論から言うと、このブログで紹介するようなピザ窯を作る上では高品質の耐火レンガは不要です。
ただ、ホームセンターやネット通販で買える耐火レンガは、種類が限られています。
ちょうど良いのがあれば良いですが、見つからなければ「SK32」という規格のものが良いです。
用語の解説|耐火度、熱容量、断熱性能
先に似たような意味の用語を解説しておきます。
物体が熱を内部に蓄える際の器の大きさ。熱容量が小さい物体はすぐ熱が外に溢れるので、温度変化が早い。熱容量が大きい物体はゆっくり温度変化が起きる。
一般的に耐火レンガは熱容量が高い。
外側と内側を同じ温度になりやすいかどうかの指標。断熱性能が低い物体は「同じ温度にしたい」という力が働きやすい。
一般的に耐火レンガの断熱性能は低い。
これら3つの内、ピザ窯作りで重要なのは「熱容量」です。
耐火度を重要視する方もいますが、ピザ窯で必要な温度はせいぜい500℃程度。
耐火レンガは低品質で安い物でも、耐火度1000℃とかの世界です。耐火度の品質にこだわる必要は無さそうですね。
耐火度は低くても良い?|500℃程度あれば十分
耐火レンガの指標としてよく出てくるのは、当然「耐火度」。
結論を言うと、耐火度は耐火レンガとしては低めの物で十分です。
一般的には耐火レンガの種類はSK○○(○○は32とか34とかって数字)という規格で示されていることが多く、ホームセンターでよく見かけるのはSK32という規格のものです。
規格による違いは「何℃まで耐えることができるか(耐火度)」で表現されることが多く、SK32であれば1,710℃とされています。
じゃあピザ窯の温度は何度まで上がるのか?
ピザを焼く上での適切な温度が450~480℃である以上、余裕をもって見積もっても500℃程度で十分です。
つまり、「何℃まで耐えられるか」という考えなら、低品質な耐火レンガで充分
耐火度と関係する熱容量は大きい方が良い
耐火レンガの指標である「耐火度」からもう一歩進んでみました。
結論を言うと、ピザ窯を作る上で重要な「熱容量」は耐火度と相関性があったので、耐火度を使って間接的に熱容量の違いを比べることにしました。
物体が熱を内部に蓄える際の器の大きさ。大きい方がピザ窯に適しています。
以下のような資料がありましたので、引用します。
表の右側に行くほど高品質な耐火レンガ=高額な耐火レンガです。
注目したいのは「かさ比重」。右側に行くほど大きくなっていますね。
「かさ比重」を簡単に言うと、「同じ大きさの箱に詰めたとき、どのくらいの重さになるか」という数値。
つまり、かさ比重が大きいほど密度が高いということ。
もっと言うと密度が高いほど熱容量が大きいので、かさ比重が高いほど熱容量が大きいと言えます。(熱容量は密度に比例するため)
話が回りくどくなりましたが、「耐火度が高い=かさ比重が大きい=密度が高い=熱容量が大きい」ということになります。
ホームセンターに赤レンガと耐火レンガが並んでいたら、実際に持って比べてみてください。同じくらいの大きさでも重さが全然違います。
それだけ赤レンガと耐火レンガでは、熱容量が違うという意味です。
熱容量はどの程度必要?|外側に熱が逃げない程度
耐火度と熱容量の関係性はわかりました。
では、具体的にどのくらいの熱容量が必要なのでしょうか?
これは「外側に熱が逃げない程度」であれば良いと考えます。そもそも熱容量が大きい方が良い理由は、窯の内部を高温に保つため(=外に熱が逃げにくいため)ですしね。
家庭向けの小さなピザ窯を数時間使うことを想定し、火を燃やし続けたときに熱が外に逃げないかどうかを実験してみます。
【実験】赤レンガと低品質の耐火レンガで比較してみた
ここで実際に赤レンガと低品質の耐火レンガで簡易的な窯を作って比較をしてみました。
使用したのはコチラの耐火レンガ。
ホームセンターでよく売られているSK32という規格の耐火度が1,710℃であるのに対し、こちらは1,200℃と少し低品質。
低品質な耐火レンガと言っても、金額は赤レンガの2倍。
ちなみに結論として、このとき購入した耐火レンガをずっと使っています
実験結果①|レンガの外側の温度
実験として、赤レンガの窯と耐火レンガの窯を作成。
火を入れて数時間経った頃、それぞれのレンガの外側(火の当たっていない方)の温度を確認してみました。
素手で触ってみたところ赤レンガの外側では火傷をしましたが、耐火レンガの外側はまったく熱くありませんでした。
温度計が無かったので素手で触りました。良い子はダメ絶対!
実験結果②|翌日の窯内部の温度
また、窯の火を消した翌日に窯の内側の温度を確認してみました。
その結果、赤レンガはすっかり冷めていましたが、耐火レンガはまだ熱を感じられました(火傷をするほどではなかったです)
この実験からわかることは、「耐火レンガの外側(火の当たっていない方)に内側の熱が逃げてきていない」ということ。
結論|低品質な耐火レンガでも十分な性能
- 赤レンガは外側へ熱が逃げすぎて効率が悪い
- 低品質な耐火レンガでも外に逃げにくい
- ピザ窯で使う分には、低品質な耐火レンガで十分
窯の外側へ逃げる熱を比べてみると、赤レンガでは明らかに不十分という結論。
そして、低品質な耐火レンガでも熱が外に逃げにくいこと、ピザ窯で使う分には十分であることがわかりました。
今回購入した耐火度1,200℃の耐火レンガでも、ピザを焼く程度には十分でした!
【大きさも重要】「厚さ×2=横幅」になること
レンガの性質以外に重要なのがサイズです。
上のイラストで言うところの青や緑の積み方だけなら大した問題になりませんが、この記事で紹介しているピザ窯はオレンジの積み方もしています。
だからイラストで言うところの①のサイズが②+③になっている必要があります。
今回購入した耐火レンガをもう一度見てみます。
右上にサイズが書いてあります。
先のイラストで言う①=23、②=11.5、③=11.5です。
「23=11.5+11.5」になっていることがわかりますね。
つまりこのサイズ比だと、並べたときに1mmの差も出てこないわけです。
と、言いましたが実際にこの記事で紹介しているピザ窯の組み方で影響が出るのは極一部分。
ピザ窯の入り口部分の1ヶ所だけです。
正直なところ、巨大な窯や建物を作るわけじゃ無いので、1~2mmの差は妥協しても良いです。
【結論】おサイフと相談をしつつ耐火度の高いものを選び、サイズも重視する
- 耐火度は耐火レンガであれば問題無し。低品質でも大丈夫
- サイズはある程度重視。ただし1~2mmの差は妥協してもOK
お金が無限にあるなら、最高の耐火度(熱容量)のもので、ベストなサイズのレンガを買えばOKです。
でも、そんな人ばかりじゃないので耐火度はおサイフと相談でOKです。耐火レンガであれば、まず問題ありません。
そしてサイズはある程度重視してください。このブログのピザ窯なら1~2mmくらいの差は妥協してもOKです。
耐火レンガはどこで買う?
選択肢としてはホームセンターかネット通販の2択。
ちなみにウチの近所では適当な耐火レンガが売っているお店が少なかったです。
- 高品質過ぎる耐火レンガ
- ちょうど良いサイズではない耐火レンガ
- そもそも耐火レンガが無い
ホームセンターを4件ほど巡ってようやく見つけたのが、上でも紹介したコチラの耐火レンガ。
「コメリ」というホームセンターにありました。
実際に購入してみて大変だったのが、持ち帰ること。
車で買いに行ったので、多少重い物でも問題無いと思っていました。
でも、車に積み込むだけで15分ほどかかっています。
さらに言うと積み込みは店員さんが手伝ってくれましたが、自宅に着いて庭に降ろすときは1人ですからね。重労働です。
お店巡り+レンガの積み降ろしで1日使いました
で、改めて調べると普通にネットで売ってるんですよね笑
送料がかかりますし、品質が良すぎて高いです。
まあでも実店舗で売ってない可能性や、積み降ろしの労力なんかを考えるとネットで買っても良かったかもしれません。
まとめ|ピザ窯に耐火レンガを使う理由をとことん追求してみた
- ピザを美味しく焼くには430~485℃必要
- 耐火レンガにこだわる理由は効率良く熱を扱えるから
- 低品質な耐火レンガでもピザ窯には十分
- 大きさも重要
耐火レンガが良い理由、赤レンガがダメな理由。
いろいろな情報をネットで拾ってこれますが、詳しく説明している人が見当たりませんでした。
だから今回、僕の方で調査と実験をして耐火レンガが良い理由を明確なものにしました。
今後、ピザ窯作りに挑戦する人がいたら、ぜひこの記事を参考に耐火レンガを購入してみてください。
ちなみに僕が作ったピザ窯の作り方は「【30分でピザ窯完成】耐火レンガを積むだけの超簡単な作り方」で解説しています。
- これだけ読めばOK
- 事前準備
- 成功体験
- 失敗体験
📖電子書籍になりました!